彼女と別れました(後編)

付き合い始めてから

慣れたら気が合いそうという見込み、そして時間経過による焦りから付き合い始めた。それからすべきことは、どんどん距離を縮めていくことだった。連絡頻度を増やし、会う回数を増やす。
用事があったとき以外にも、他愛のない連絡を試みる。しかし、返事はそっけない。多分、彼女にとってメールやLINEは用事があった時の連絡手段でしかないのだろう。出かけてみても、やっぱり会話は弾まないし、手をつなぐ雰囲気にすらならない。

美味しいものを食べても笑顔になるわけでもなければ、たくさんしゃべる訳でもなく、お酒を飲むわけでもない。1~2週間ごとに、1~2時間くらい一緒にいて、さようなら。おそらく、読んでいるだけだと「あなたのことを好きじゃないだけでは?」と思われるだろう。
しかし、自分が感じたところでは、そして別れる時に話したことから推測するに、おそらく彼女は好きじゃなかった訳ではないし、好きになろうとしなかった訳でもない。それを表現することができなかったのだと思った。

しかしこの期間は自分にとっては正直かなり辛かった。彼女を作ろうと思った動機は、とにかくもう一度、誰かと一緒にいる幸せみたいなものを感じたかったからなのだが、一番嬉しい、楽しいはず時期で感じられない。これからそういう時が来そうかも分からない。もしかしたら今までの態度は慣れてないからではなく、最初から彼女の本当の姿だったのでは?という思いもよぎった。
過ぎていく時。自分はあまり若くもないので、そういった意味での焦りもあった。大いなる疑問を感じつつ、気が付けば1月中旬から1カ月会っていなかった。
そしてついに、爆弾を投げ込んだ。

別れへ

この時すでに、自分の中で「今の状況をどうにかしたい」=「別れたい」という気持ちが強くなっていたことは事実だ。しかし、「今の状況をどうにかしたい」=「距離を縮める方法を話し合う」という選択肢も残っていた。
また、そもそも彼女側は現状をどう思っているのかさえ分からない。

そこで、以下のような内容でLINEを送ってみた。

  • 今の状況は自分にとって望ましくない
  • このままだと距離を縮められる気がしない
  • お互いアイデアを出して少し無理をしてでも頑張るべきか、迷っている
  • あなたは今の関係についてどう思っていますか?

それから一週間が経ったが、返信は来なかった。

返信

一週間と一日後、返事が来た。
そもそも連絡ペースが長いのは自分のせいでもあるのだが(自分も返信遅めなことが多い)、こういう時くらい早く返してほしかった。最悪フェードアウトか、少なくとも彼女にとってはそんなに大事なことではないのかな、、という風に感じられ、この時点で9割くらいは別れるつもりになっていた。

返信内容としては

  • 恋愛的なことが苦手で、変えていかなければいけないと思っている
  • これまで、せかされることがなかったので甘えていた
  • 自分としては今のペースで満足していた
  • 無理しない範囲でできることがあったらやってみたい

という前向きなものだった。今の状態で良いと思っていたというのも、自分としては意外だったし、自分の思いとはギャップがあるなあと思った。
対面で話したいということだったので、それから2週間後、会うことになった。
2020年になってから会うのは2回目だった。

最後の話し合い

まず自分の考えを改めて伝えた。
そしてもしこれからも付き合うとしたら、少し無理をしてでも距離を縮めたいという旨を伝えた。「無理」の内容は、会う回数や連絡回数をぐっと増やすこと。何故なら、お互いの性格的にコミュニケーション能力だけで距離を縮めるのは無理だから。個人的には「無理」こそポイントだと思っていた。何故なら、当たり障りのない状況から脱することでこそ、本音を言える(言わざるをえない)状況が生まれる、と考えたからだ。

相手の答えとしては、こちらからの提案(会う回数や連絡回数を増やすこと)については賛同で、結論はそれをやってみた後で出したいとのことだった。しかし「無理のない範囲」でやっていきたいとも言われた。休日の過ごし方や友達付き合いでも、自分はあまり無理をしたくないし、仲が良いほど無理をしないようにできるのだと。

すごく端的な話で、今日この話し合いが終わった後どうしたいか、という話になった。自分としては店を変えて飲みに行きたい、なんなら普段よりたくさん飲んで、いろいろ本音で話す場にしたい。彼女としては、精神的に疲れたので帰りたい、本音を言うと今日は無理とのことだった。

ここに大きな隔たりを感じた。
自分としては、重い話をした今日だからこそ、気分を変えて改めて宜しく、と、これからの決意表明も兼ねて明るい気持ちになりたい。それがなければ、本当にこの先大丈夫だろうかと不安でいっぱいの気持ちでまた過ごすことになってしまう。逆の立場だったとしても、この状況で行かないことに拘る点が、どうしても理解できなかった。(決して病気なわけでもなく、用事がある訳でもないとのこと)
ましてや、恋人同士でご飯を食べたりお酒を飲んだりするのって、本来耐えるものではなくて楽しいことのはずでは?と思うのだが。

そこが自分としては距離を縮める上での最低ラインだった訳だが、今時点でそれが妥協できないなら、今後続けてもうまくいかないでしょう、ということで、何度かのどうどう巡りの末、別れるという結論に至った。

彼女に対して思ったこと

最後の話し合いは約2時間だった。
これまで途切れがちだった2人の会話だが、この時ばかりは殆ど途切れることなく話が続いた。相手の考え方など、初めて分かった部分も多く、もっと早くたくさん話せていれば、違った方向に進むこともできていたかもしれない。
また、彼女の「もう少し付き合い続けて、できることをやってから判断したい」という点についてはぶれることはなく、心なし寂しそうな顔を見ると、何度か心がそちらに傾いた。
都合の良いその場しのぎの答えをするのではなく、自分にできること、できないことを真剣に考えて、まっすぐ答えてくれた彼女は、とても誠実な人だと思った。

もしここで別れなかったら、何とか折り合いをつけてやっていくことはできたかもしれない。それでも、やはりお互いに我慢する部分が多く、常に迷いとともにある生活になっていたと思う。別れについては正しい結論だったと思っているが、出会いからこれまでのこと、これから来ていたかもしれない未来のことを思うと、今はただ切なさだけが残っている。